鹿児島弁は、イントネーションと語尾のリズムが独特で、初めて聞くと早口に感じたり、意味が取りにくかったりします。 でも、よく使う方言にはパターンがあり、よく使う単語から覚えると会話の理解が一気に進みます。 この記事では、鹿児島で日常的によく使われる鹿児島弁を50個に厳選し、意味と使い方をセットでわかりやすくまとめます。 旅行や帰省で使える軽めの表現から、友だち同士の会話でよく出る言い回しまで、覚えやすい順に整理していきます。
鹿児島弁の特徴とは?
鹿児島弁は、テレビやSNSで見聞きしたことがあっても、実際に会話で聞くと「え、今なんて言った?」となりやすい方言です。 理由はシンプルで、単語が難しいというより、話し方のクセ(イントネーションや語尾)が標準語とかなり違うからです。独特のイントネーションと語尾
鹿児島弁は、抑揚のつけ方が独特です。 標準語の感覚で聞くと、同じ単語でも別の言葉に聞こえたり、文の終わりがどこなのか分からなくなったりします。 さらに、語尾が短くなったり、助詞が軽くなったりするので、会話だとスピード感が強く出ます。 最初は意味以前に「音がつながって聞こえる」ことで戸惑う人が多いです。鹿児島弁が難しいと言われる理由
鹿児島弁が難しいと言われるのは、知らない単語が多いからというより、聞き取りのヒントになる部分が削られやすいからです。 たとえば、語尾が短くなる、助詞が省略される、発音が変わる。 このあたりが重なると、知っている言葉でも一気に分かりにくくなります。 だからこそ、このあと紹介する「よく使う50語」は、単語だけでなく、会話での使い方(例文)とセットで覚えるのが一番早いです。鹿児島弁でよく使う方言50選
鹿児島弁は数が多いので、よく使う言葉から覚えるのが近道です。 ここでは、日常で登場しやすい方言を50語にしぼって、場面ごとに見やすくまとめます。あいさつ・相づち
まずはあいさつ系から入ると、会話の入口がいちばん楽になります。 短い一言でも空気が伝わるので、旅行でも普段の雑談でも使いどころが多いです。| No. | 方言 | 意味 | 使い方例 | ニュアンス |
|---|---|---|---|---|
| 1 | おやっとさあ | お疲れ様/ご苦労様/おかえりなさい | おやっとさあ | 会ったときの挨拶として広く使える |
| 2 | さしかぶい | ひさしぶり | やあ。さしかぶいですね | 再会の第一声として自然。別義で枝葉が覆いかぶさる意味もある |
| 3 | じゃっど | 〜だよ | あなたが言われる通り、じゃっど | 言い切りの語尾。場面によっては強く聞こえやすい |
| 4 | じゃっどん | けれども/〜だが | それは詐欺じゃっどん、コロッと騙された | 話を受けて逆接につなぐ言い方 |
| 5 | そいじゃが | そうだ | そいじゃが。その調子で頑張ってね | 相手を囃したり背中を押したりする返し |
| 6 | よか | 良い | そいでよかが | 同意や許可の返事としても使いやすい |
| 7 | たもんせ | ください/下さい | この黄色いのを、たもんせ | お願いの定番。丁寧寄りに響きやすい |
| 8 | しやったもんせ | して下さい | ゆっくり、しやったもんせ | 相手に配慮しながら頼む言い回し |
| 9 | おさいじゃったもんせ | おいでください | たまには、私の家にもおさいじゃったもんせ | 招くときの表現。歓迎の気持ちが乗る |
| 10 | いたっおじゃんせ | いってらっしゃいませ | おやっとさあごあんそ。いたっおじゃんせ | 見送るときの挨拶として使う |
気持ち・評価
次は、気持ちを乗せたいときや、相手を評価するときに出やすい言葉です。 かわいい、うまい、きつい、うるさいみたいに、感想をそのまま言える語が揃っています。| No. | 方言 | 意味 | 使い方例 | ニュアンス |
|---|---|---|---|---|
| 11 | まこて | 本当に/誠に | まこて助かった。ありがとう | 驚きや感謝を強めたいときの強調 |
| 12 | むぜ | かわいい/小さくて可愛らしい | この子、むぜか顔しちょいね | 見た目やしぐさに対して素直に褒める言い方 |
| 13 | わっぜ | もの凄く/たいへんに | わっぜ並んじょるね。人気なんだな | 規模や程度を強く言う強調語 |
| 14 | うぜらしか | うるさい | 外がうぜらしか。ちっと静かにせんね | 相手や状況をうっとうしく感じるときの言い方 |
| 15 | やぞろし | うるさい/わずらわしい | その話はやぞろしか。あとで聞く | 煩わしさまで含む強めの不満 |
| 16 | よかあんべ | いい気持ち/いい日和/うまい具合に | 今日はよかあんべじゃ。散歩に行っが | 体調や天気、段取りが良いときの便利語 |
| 17 | きっか | きつい/つらい | 階段がきっか。ちっと休もか | しんどさを率直に言う感想 |
| 18 | きばる | 頑張る/耐える/我慢する | あと少しじゃ。きばっど | 自分にも相手にも使える踏ん張りの言い方 |
| 19 | うんまか | おいしい | この黒豚、うんまか。もう一口ほしか | 食べ物の感想で最短で伝わる |
| 20 | よかにせ | 美青年/好青年 | あの子はよかにせじゃ。礼儀もよか | 見た目や雰囲気を褒める表現 |
日常動作
次は、家の中や外出先で自然に出る動作の言い方です。 掃く、片付ける、移す、こぼすみたいに、生活の中で出番が多い動詞をまとめます。| No. | 方言 | 意味 | 使い方例 | ニュアンス |
|---|---|---|---|---|
| 21 | はわく | 掃く | 玄関をはわいちょって。砂が多か | ほうきで掃く動作そのもの |
| 22 | なおす | 物を片付ける | 使い終わったら、ちゃんとなおしちょけ | 元の場所に戻す感じ |
| 23 | なおす | 移す/移動させる | 席をなおそか。こっちが涼しか | 席や場所を変えるときに出る |
| 24 | こばむい | 片付ける | 机の上をこばめてから出かけっど | 広げたものをまとめる感じ |
| 25 | あとこばめ | 後片付け | 食べ終わったら、あとこばめしちょきや | 食後や作業後の片付け |
| 26 | こびい | 結ぶ/括る | 袋が破れんごつ、しっかいこびい | 紐でまとめる動作 |
| 27 | こぼらくい | こぼす | あいがと。わいがこぼらくいした | こぼした側の表現 |
| 28 | こぼるい | こぼれる | 水がこぼるい前に、早よ止めやい | あふれる側の表現 |
| 29 | やいなおす | やり直す | 今のは違う。いっぺんやいなおそ | もう一回やり直す |
| 30 | ちわするい | 忘れる/忘れてしまう | 電話すっのを、ちわすれっおした | うっかり忘れた感じ |
人・性格
人を褒めたり、性格をからかったりするときに出やすい言葉です。 言い方によっては強く聞こえる語もあるので、仲がいい相手向きのものはニュアンス欄で補足します。| No. | 方言 | 意味 | 使い方例 | ニュアンス |
|---|---|---|---|---|
| 31 | ぼっけもん | 大胆な人/冒険者 | あの人はぼっけもんじゃ。思い切りがよか | 度胸や行動力を評価する言い方 |
| 32 | すぼっけ | 向こう見ずなこと/ばか度胸があること | そげなすぼっけな真似はやめとけ。危なか | 無鉄砲さへの注意。褒めよりも止める場面で出やすい |
| 33 | よかにせ | 美青年/好青年 | あんた、よかにせになったね。立派じゃ | 見た目だけでなく人柄込みで褒める感じ |
| 34 | よかおご(よかおごじょ) | 美人/綺麗な娘さん | よかおごが多か町じゃ。目が忙しか | 外見を褒める言い方。場面によっては軽く聞こえやすいので注意 |
| 35 | おご(おごいさあ) | 娘さん/お嬢さん | あの店の看板おごは、接客がていねいじゃ | 娘さんの呼び方。年配の言い方として出やすい |
| 36 | やっせんぼ | 弱虫/意気地なし | 暗か所を怖がっちょって、やっせんぼじゃな | からかい寄り。相手との距離が近いとき向き |
| 37 | むでごろ | 怠け者/意気地なし/気力のない者 | むでごろにならんごつ、朝から動け | かなりきつい言い方。叱る場面で使われやすい |
| 38 | へこいすべい | ぺこぺこしてへつらうさま | 言いたかこつがあるなら、へこいすべいせず言え | へりくだり過ぎを咎める言い方 |
| 39 | ひっかぶい | 弱虫/意気地なし | ひっかぶいになっちょったら、何も変わらんど | 奮い立たせる叱咤のニュアンス |
| 40 | てげてげ | いい加減/ちょうどいいくらい | てげてげでよか。気張りすぎんな | 手を抜く意味にも、ほどほどの意味にもなる。前後の文で判断 |
状態・程度
次は、量や程度をちょっと調整したいときに便利な言葉です。 少しだけ、ほんの少し、本当にの言い分けができると、会話が一気に自然になります。| No. | 方言 | 意味 | 使い方例 | ニュアンス |
|---|---|---|---|---|
| 41 | ほんのこち(ほんのこて) | 本当に/実に | ほんのこて助かった。来てくれてよかった | 強めの断定。気持ちをしっかり乗せたいとき向き |
| 42 | てげ | おおざっぱに/いい加減に | てげでよか。細かいとこはあとで整えっが | 雑にしていい、ほどほどでいいの感覚。言い方次第で投げやりに聞こえる |
| 43 | ちっと | ちょっと/少し | ちっと待っちょって。すぐ戻っで | 短い時間や少量を表す定番 |
| 44 | ちった | ちょっとは/少しは | ちったは落ち着いたね。顔色がよくなった | 少しは改善した、の含みが出る |
| 45 | ちっとそっと(ちっとほっと) | 少々/ほんの少し/ちょっとやそっと | ちっとそっとじゃ変わらん。もう一回考えよ | 少なさを強調。押し切られない言い方としても使える |
天気・自然
鹿児島は天気の話題に火山灰の話が混ざることも多いです。 ここでは、日常会話でそのまま出やすい自然まわりの言葉を集めます。| No. | 方言 | 意味 | 使い方例 | ニュアンス |
|---|---|---|---|---|
| 46 | へ | 灰/火山灰 | 今日はへがひどか。車を洗ってもすぐ汚るっ | 鹿児島らしい日常語。火山灰を指すときの言い方 |
| 47 | ふっ | 降る | ゆっがふっど。足元に気をつけやい | 雪や雨が降るの降る。天気の会話で使う |
| 48 | ふっ | 噴く | しまがふっで、へが舞いはじめた | 噴火の噴く。火山の話題で出る |
| 49 | しくい | 湿気る | 布団がしくい。今日は干しとこか | 湿気でしっとりした状態。梅雨や雨の日に出やすい |
| 50 | ふっ | ヨモギ/蓬 | ふっを摘んで、餅に混ぜたら香りがよか | 植物の名前。食べ物や季節の話題で出る |
すぐ使える鹿児島弁フレーズ集
単語を50個覚えるのは大変でも、短いフレーズなら会話の中で真似しやすいです。 このパートは、暗記用というより、使う場面を先に決めて、そのまま口に出せる形に寄せています。 鹿児島弁は語尾や言い回しで印象が変わるので、まずは柔らかく聞こえる言い方から試すのが安全です。旅行で使える(お店・道案内・温泉など)
旅行中は、お願いする、場所をたずねる、別れ際に一言添える、の3つが多いです。 この3つだけ押さえると、方言を混ぜても不自然になりにくいです。 言い切りが強くならないように、語尾は短くまとめます。| 場面・目的 | 使えるフレーズ | ひとことメモ |
|---|---|---|
| 買い物でお願いするとき | たもんせ/しやったもんせ | 注文や依頼の語尾に足すだけで、角が立ちにくい |
| 場所や順路を聞くとき | どげん行けばよか/こっちでよか | 最初に質問、最後に確認で使うと会話がつながる |
| 別れ際に一言足すとき | そいじゃ/おやっとさあ | 去り際の区切りとねぎらいで印象がよくなる |
会話例:お店
客:この黒豚のやつを一つ、たもんせ。 店:はい、よかですよ。 客:おやっとさあ。助かった。会話例:道案内
旅行者:駅はどげん行けばよか。 地元:まっすぐ行って、二つ目を右じゃっど。迷ったらまた聞きやい。 旅行者:おやっとさあ。会話例:温泉
旅行者:ゆっくい入りたか。今日は人が多かね。 地元:そいじゃ。ゆっくりしやったもんせ。 お願い系は発音が多少違っても通じやすいので、旅の最初に試すなら、たもんせから入ると楽です。友だちとの会話で使える
友だち相手なら、相づちと感想を少し混ぜるだけで会話が回ります。 ポイントは、強い言い切りを多用しないことです。 最初は、短くて柔らかい言葉を挟むくらいがちょうどいいです。| 目的 | 使えるフレーズ | ひとことメモ |
|---|---|---|
| 相づちで会話をつなぐ | よかよ/そいじゃが | 短く返すだけでテンポが出る。言い切りを強くしすぎない |
| 感想をそのまま言う | うんまか/きっか/よかあんべ | 単語だけでも伝わりやすい。表情とセットだと自然 |
| 気持ちを強める | まこて/わっぜ | 強調は連発しない。ここぞの一回で効く |
会話例:ごはん
A:これ食べてみやい。 B:うんまか。まこて、うんまか。 A:よかあんべじゃろ。まだあるど。会話例:疲れたとき
A:今日きっかね。 B:きっか。じゃっどん、あと少しきばっど。 A:よかよ。無理はすんな。会話例:テンポよく返す
A:明日、早よ出るぞ。 B:そいじゃが。ちっと早起きせんとね。 友だち相手でも、相手が鹿児島弁に慣れていないときは、標準語に一言だけ混ぜるくらいが一番自然です。使うときの注意点
鹿児島弁は、少し混ぜるだけで会話が和らぐ反面、場面によっては強く聞こえたり、そもそも通じなかったりします。 だからこそ、難しいルールを覚えるより、つまずきやすいところだけ先に知っておくと安心です。 ここでは、使ってみて困りがちな場面を3つに分けて、どう言い換えるとスムーズかまでまとめます。地域差がある(同じ鹿児島でも違う)
鹿児島弁は、県内でも地域によって言い方が変わることがあります。 同じ単語でも意味が少しズレたり、発音が違って別の言葉に聞こえたりするので、聞き慣れていないと余計にややこしく感じます。 たとえば同じ音の言葉が別の意味を持つこともあり、前後の話題がないと誤解されやすいです。- 相手が首をかしげたら、その場で標準語に言い換える
- 最初は挨拶やお願いのような定番から混ぜる
- 同音異義がありそうな語は、短い説明を添える
目上への言い方は丁寧形を意識(例:ご挨拶表現など)
鹿児島弁は柔らかい表現もありますが、語尾の勢いで強く聞こえることがあります。 目上の人や初対面の相手には、方言を混ぜるなら丁寧寄りの言い方を選ぶのが無難です。- お願いは「たもんせ」や「しやったもんせ」のように丁寧寄りでまとめる
- 言い切りが強い語尾は連発しない
- 迷ったら標準語で言ってから、最後だけ方言にする
通じないときの言い換え
相手が鹿児島弁に慣れていないと、言葉を知っていても音として拾えず、会話が止まることがあります。 そんなときは、粘らずに標準語へ切り替えるほうがスムーズです。- 方言のあとに標準語を添える
- 単語にこだわらず、状況説明に言い換える
- 分からなさそうなら、確認の一言を入れる